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病からの解放Alephの医学理論――土台は仏教・ヨーガ理論

■インタビュー
「現代の精神医療と真理修行、その類似点と相違点」(前編)――アヴェッチャパサーダヴァンティー師

 

 現代の医学では、精神的な病に対してどのような対処をしているのだろうか。そして、真理修行の現代精神医療に対する優位性というのは、一体どのようなところにあるのだろうか――。
 今回は、カウンセラーの資格をお持ちになっているアヴェッチャパサーダヴァンティー師に、「現代精神医療と真理修行、その類似点と相違点」というテーマで、いろいろとお話を伺った。


●増える精神障害――メンタルクリニックはどこもいっぱい

――まず初めに、精神病や精神障害(精神疾患)の人というのは増えているのでしょうか?

アヴェッチャパサーダヴァンティー師(以下、APV師):はい、増えてきていますね。統計的にも数字が出ています。
 その現われだと思いますが、メンタルクリニックはどこもいっぱいです。わたしも患者さんに付き添ってクリニックに行ったことがありますが、本当に満員で大忙しでした。先生も、ゆっくり患者さんの話を聞く暇もない、という感じでしたね。
 ですから、話を聞くのはカウンセラーに任せて、夜遅くまであわただしく診察している、というのが現状のようです。

――ということは、あまり細かな対応はできていないということでしょうか。

APV師:病院の先生はそうですね。診察して、病名を判断して、そして薬を処方する、というのが先生の仕事ですからね。
 そして、希望する人にはカウンセラーを付けます。ただ、カウンセリングを全くしない病院もあります。


●だれでも精神的な病に陥る可能性がある

――精神的な病に陥りやすい人の特徴って、何かありますか?

APV師:それは、真理の教えから言うなら、下位の三つのチャクラのどれかが優位な人ということになります。
 ただしこれは、別に精神的な病に陥っている人だけでなく、正常とされている人も基本的にはそうですから、正確に言うなら、だれもが精神的な病に陥りやすいということになりますね。
 今の世の中、心の中に嫌悪や性欲、食欲といった煩悩を持っていない人、エゴのない人、あるいは、けがれた情報を取り入れていない人など、ほとんどと言っていいほどいません。
 ですから、そういったけがれた深い意識が、何らかの形で表面化すれば「精神障害」と見なされ、まだ陰{かげ}に潜んでいる場合は、「正常」と見なされているにすぎないわけです。
 そして、それが表面化するための条件の一つが、過度のストレスなんですね。

――やはり、ストレスは精神障害の引き金になるんですね。

APV師:はい、そうです。
 そのストレスの処理の仕方がわからないから、苦しむんですね。そして、やがて“病んだ心”が表面化してきます。
 それから、説法にもありますけれども、過去世で行{ぎょう}ばかりやって功徳を積まなかった人の場合、今生、霊性だけがひとりでに進んでいって、低い世界(=けがれた意識)に突っ込んでいってしまうケースもありますね。


●接近するアストラル世界、増える霊的な人々

APV師:最近は、一般の人でも霊的な人はどんどん増えてきていますよね。
 説法でも、これからアストラル世界(霊的世界)が近づいてきて、精神異常の人たちがもっと増えるというふうにも言われています。
 これは、わたしたちが潜在的に持っているけがれが、サットヴァの光に照らし出されることによって露わになる、言い換えれば、霊的に突っ込んでいくという現象だと思います。
 科学的に見ても、太陽黒点の影響などから来る地磁気の異常、電磁波のエネルギーの変化が、わたしたち人間の脳波(精神活動)にいろいろな影響を与えている、という話もあります。その一例として、統合失調症{とうごうしっちょうしょう}(精神分裂病)の幻覚や幻聴が、地磁気活動の乱れた時期に起こりやすいという臨床結果がありますね。

――なるほど。

APV師:それで、徳のある人は高い世界に突っ込むから、かえって幸福になるというか、全然問題はないのですが、徳がないと、低い世界へと突っ込んでしまって、大変な苦しみを味わわなきゃいけないんですね。
 当然これは、一つのカルマの解放ととらえることができるわけですが、それによって精神状態がおかしくなってしまう。
 その典型が、先程言った統合失調症なんですね。いろんなものが見えたり聞こえたり、普通では感じられないものを感じ取るといった形で、社会性が低下する病気です。


●「統合失調症」と「気分障害」が全体の約半分を占める

――「統合失調症」と最近増えているとされる「うつ病」というのは、どう違うのでしょうか?

APV師:統合失調症の場合は、先程言ったとおり、一般の人が感知できないものが見えたり聞こえたりする病気で、別世界、異次元世界とつながっている感じなんですね。そして、エネルギーもいろいろなものを感じる。そして、表層意識と潜在意識や超潜在意識が分裂して出てくるわけです。
 ところがうつ病というのは、心が暗くなって、やる気がなくなったり元気がわかなくなったりする病気で、――深い意識が表面化していることはあったとしても――統合失調症のように現象界以外のいろいろなデータの影響を受けて困惑する、という感じではないんですね。
 どちらかというと、エネルギーの消耗というか、光の喪失といった感じです。そこから来る極端な落ち込みというか。

――なるほど。

APV師:このうつ病は、躁うつ病(※気分の“落ち込み”と“高揚”が交互にやってくる病気)とともに、「気分障害」といわれているのですが、この気分障害と先程の統合失調症の二つだけで、精神障害者全体の約半分を占めています。

――半分もですか。

APV師:はい、そうです。あとは、引きこもりとか認知症ですね。認知症というのは、アルツハイマーとかの、いわゆる痴呆症のことです。
 それから、パニック障害や適応障害といったものがあります。


●一般的対処法――投薬とカウンセリング

――そういう人たちに対して、現代の精神医療ではどのような対処法が取られているのですか?

APV師:一般には、先程少し述べましたが、投薬とカウンセリングです。

――それで良くなっていくものなんでしょうか?

APV師:ある程度、良くなっていきますね。
 ただし、精神障害は投薬だけでは決して治らない、というのが一般的見解です。例えば統合失調症なら、意識を落ち着かせるために、薬で意識を下げることによって安定させる場合が多いです。
 このように、一時的に症状を抑えるという効果はあるのですが、その人の本質が変わらないと、病気自体は治らないですね。
 しかも、どんな薬にもたいていは強い副作用がありますから、そういったリスクも考える必要があります。
 ですから、カウンセリングが大切になってきますね。


●カウンセリング法(1)――「受容」

――カウンセリングというのは、具体的にどんなことをするのですか?

APV師:カウンセリングにもいろいろあって、日本で一番有名なのは、アメリカの臨床心理学者カール・ロジャーズが提唱した「受容{じゅよう}」という方法です。
 「来談者(クライアント)中心療法」といわれているのですが、相手の言うことをとにかく、「そうですね、なるほど」と肯定しながら聞くわけです。

――相手を受け入れていくということですね。

APV師:そうです。だいたい精神障害になる人というのは、人間関係がうまくいかない場合が多いから、自分を受け入れてくれる人が少ないんですね。
 ところが、カウンセラーはどんなことを言っても受け入れてくれますから、そういう意味ではやはり心は安定しますよね。
 だれでもできやすい方法ですが、実際は、相手を心から受け入れるというのは難しいところがあるんですけどね。

――受け入れるというのは、言葉では簡単ですが、難しいでしょうね。

APV師:そうなんです。
 でも、日本で行なわれているこのやり方というのは、本当は正しくないんです。
 ロジャーズのいう「受容」というのは、単に相手を受け入れるだけじゃなくて、カウンセラーの側から意見を言ったり質問をして正したり、ということもするんです。
 しかし、それがちょっと誤解をされて、何でもかんでも肯定するというふうに思われているところがありますね。


●カウンセリング法(2)――「認知行動療法」

APV師:それともう一つ、「認知行動療法」というのがあります。
 これは本当に効果が高いのですが、どのカウンセラーでもできるというものではありません。
 やはり、ある程度訓練した人でないと難しいですね。

――例えばどういうふうにしていくんですか?

APV師:これは、うつ病やパニック障害の人によく用いられるんですけれど、例えばパニック障害だとした場合、どういう場面でパニックが起こるかっていうのは、だいたい決まっているんですよね。
 そのときに、まず、「頭の中でどのような考えが生じましたか?」って質問するんです。そして、続いて「その考えを持ったときに、どういった感情が生起しましたか?」って。
 普通の人は、だいたい考えと感情がセットになっていますから、それを離して質問するわけです。
 そして、「その考えや感情は、どれくらいの強さに感じましたか?」というふうに聞いて、その強さをパーセントで表わしてもらいます。
 そして、それがどのようなイメージを形成し、最終的にはどのような生理現象となって肉体上に現われるのかを、順次尋ねていくわけです。
 それは例えば、手に汗を握るとか、緊張して心臓がバクバク鳴るとか、あるいは、恐怖で目の前が真っ暗になって倒れそうになるとかですね。
 これって、五蘊(ごうん)を一つずつ分けて観察していくというやり方に似ていると思いませんか?

――そうですね。要素を分解しているって感じですね。

APV師:そして最初の、頭の中で生じた「考え」のところを、もっと別のとらえ方はないかと検討し、それを変容することによって――これは、実際に「変容」という言葉が使われているのですが――、その次に出てくる感情が良好なものへと変化し、そして肉体上の現象も収まる、といった流れになるんです。

――なるほど。

APV師:現在はパニック障害やうつ病の人は増えているのですが、この方法は実際に、相当の効果を上げていますね。


●アーサナ、呼吸法、マントラ、経行、功徳の理論も取り入れて

APV師:これらのほかにも、カウンセリング技法にはいろいろあって、それぞれに一定の効果が見られます。
 特に面白いのは、「仏教やヨーガの修行で心を成熟させることで、病気は完治する」としているところも、散見できるということです。
 例えば、アーサナに近い自律訓練法や呼吸法、マントラといったものを取り入れて治療に当たっているケースがあります。

――マントラもあるんですか?

APV師:そうです。一般には「神言」といっています。あるいは唱名とかね。「ブッダの名前を何度も唱えることによって、心が落ち着いてくるんですよ」と言っているところもあります。
 それからあとはウォーキング、わたしたちのいう「経行{きんひん}」ですね。
 そして極め付きは、人のためになること、人に喜んでもらうこと――つまり、功徳ですね――、これをやらなきゃ駄目だっていうふうにも言っています。

――それは面白いですね。

APV師:カウンセラーも、しっかりとしたところは、相手の言うことを受け入れるばかりじゃなくて、例えば患者さんが「自分はこうしたらうれしい」とか、「こうしたいんだ」と言ったときに、「では、それをしたときに、周りの人はどのように思うでしょうね?」といったことを尋ねたりします。
 それで、たとえ自分がいいと思ったことでも、それによって周りの人を苦しめてしまうならば、それはいいとは言えないんだというふうに気付かせていきます。
 そして、他のためにもなるような生き方に目覚めさせる、そういったカウンセリングをしているんです。

――ああ、そうなんですか。

APV師:もちろん、全部が全部そういう方法を取っているわけではなくて、全く効果の出せていないところも結構ありますからね。

(後編)に続きます>