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病からの解放Alephの医学理論――土台は仏教・ヨーガ理論

■東洋医学・西洋医学で見直されている「心の働きと病の関係」

●心の働きと病の関係――中国医学の見解

 数千年の歴史を持つ中国医学。かつて中国医学は“迷信”にすぎないと考えられていた。しかし、近年、鍼や気功などによる驚くべき治療効果が明らかとなり、医学者たちの注目を集めている。

 この中国医学において、特に重要視されているものに、心の働きがある。中国では、いにしえより病の原因として七情{しちじょう}、つまり「喜・怒・憂・思・悲・恐・驚」という七種類の心の働きが挙げられてきたのだ。
 
 また、中国最古の医学書『黄帝内経』{こうていだいけい}には、感情が体に及ぼす影響について次のように記されている。

――怒りは肝を破り、喜びは心を破り、思いは脾を破り、憂いは肺を破り、恐れは腎を破る。

(『黄帝内経素問』陰陽応象大論篇 )

 ここでいう“五臓”とは、西洋医学的な意味での臓器と若干の相違があるが、いずれにせよ、心の働きが病気を引き起こす原因となると指摘している。

 

●心の働きと病の関係――西洋医学の研究

 西洋医学の分野においても、この数十年の間に、心の働きと病との間には密接な関係があると言われるようになってきた。特に、怒りや憎しみといった感情については、心臓病と深く関係しているということが、数々の研究の結果明らかになっている。

 心臓病学の権威、マイヤー・フリードマン博士とレイ・ローゼンマン博士の二人は、性格と心臓病との間に何か関係があるのではないかと考え、調査を行なった。すると、心筋梗塞などの心臓病にかかりやすい人は、三つの性格を持っていることがわかった。

《心臓病にかかりやすい人に共通する性格》

(1)非常に競争的で野心的である
(2)早口で話し、他人の話をしばしばさえぎる
(3)敵意を燃やしたり、怒ったりすることが異常に多い

 フリードマンとローゼンマンは、“攻撃的”を意味する“アグレッシブ(Aggressive)”の頭文字をとって、この性格を“タイプA”と呼んだ。

 デューク大学のレッドフォード・B・ウィリアムズ博士らは、このタイプAの性格の「気短か、野心、敵意・怒り」の中で、どの要素が最も心臓病と関係が深いのかを調べた。

 その結果、敵意・怒りの点数が高い人は、低い人よりも2倍も冠動脈の狭窄――つまり動脈硬化により狭くなった部分がある――ということがわかったのだ。

 動脈硬化は、心臓の血管のみに起こるものではない。全身の血管で起こる。例えば、脳で動脈硬化が起こると、脳出血や脳梗塞にもなりやすくなるのである。

 ある医学博士は、著書の中でこう語っている。

――最近、病に及ぼす気の影響に大きな関心が集まっています。ガンなどが気の持ち方で発生も進行状況も異なるということは、多くの人に興味を持たれています。しかし、比較的科学的な解明が進んでいる血管壁の病気(心筋梗塞、脳梗塞)に対して、心の持ち方が非常に重要な影響を及ぼしていることは、案外知られていません。

 田中角栄氏は、田中派が分裂し、竹下さんが創政会を旗揚げして、この報告に田中家を訪ねた後で脳梗塞になりました。田中角栄氏は、竹下さんと激論を戦わし、大変怒ったとのことです。

 同じようなことは大平首相にも起こりました。彼は不信任案を通され、国会を解散し選挙に打って出た際に心筋梗塞になりました。

 このように、怒り、さらにその根底にある相手に対する憎しみは、心を傷つけ、体を冒します。

(『癒やす力の科学』高田和明著)

 怒りや憎しみ、恨みといったネガティブな感情と、寿命や健康との間に深い関係があるということは、多くの研究者によって報告されている。先ほど取り上げた、デューク大学のウィリアムズ博士は「怒りっぽい傾向の強い人々は、そうでない人々と比べて、50歳以前に死亡する確率が5倍くらい高い」と指摘している。

 また、慢性のイライラ型の人、例えばエレベーターがすぐに来ないだけでカッとなってしまうような人は、喫煙や深酒、大食といった習慣におぼれやすいという研究結果も出ているのである。

*   *   *

 ――中国医学・西洋医学で見直されてきている、心の働きと病の関係。
 それでは、仏教・ヨーガでは、病と心の働きについて、どのように考えられているのだろうか?

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